エンディングのこと

自分の人生の終わりについて、なかなか考えることありませんよね。40代50代ではまだ実感できないかもしれませんが、ここで一度立ち止まって想像し、じっくり考えてみませんか。

★「死に方」を自分で決める?

延命治療をするのか、しないのか
自分がどんなふうにして死ぬのか、なんてそのときにならないと答えが出ない問いです。けれど、医療が高度化した現代において、延命治療するのか、しないのか、は自分なりの答えを持っておくべきことのひとつでしょう。

たとえば、急に倒れて意識不明になったり、事故で重傷を負った場合、救急車で病院に搬送されます。病院の救急救命センターや集中治療室では、一命を取りとめる治療がおこなわれ、かつてなら死に至る症状であっても、今の進歩した医療技術では、救命できる範囲が広くなっています。

ですが、一命は取りとめたものの、意識が戻らなかったり、自力で呼吸したり栄養が摂れなくなる場合もあります。そうなると、人工呼吸器などの生命維持装置や、胃瘻などの栄養補給装置を使うことになります。それが延命治療です。

延命治療は治すためのものではなく、「死なせない」治療。回復の見込みは立たず、本人としても家族にとっても、肉体的にも精神的にも経済的にも負担が少なくありません。

尊厳死を望むという意思表示
こういった場合を想定して、尊厳死を望む(=延命治療を望まない)という意思表示をすることができます。その方法はいくつかありますが、エンディングノートの項目に設けてあることが多いので、まずはそちらを見ましょう。

 <エンディングノートの延命措置への意思表示の例>

□最期まで、できるだけの延命措置をしてほしい
□苦痛をやわらげる措置は希望するが、延命だけの措置は希望しない
□延命措置は望まず「尊厳死の宣言書」を作成した
□公正証書  □日本尊厳死協会  □自分で作成(保管場所:   )
□延命措置は望まず、尊厳死を希望することをここに宣言する

(明日のための「マイ・エンディングノート」本田桂子著より)

あらかじめ意思表示していない場合は通常、延命治療がおこなわれます。尊厳死を希望するのであれば、エンディングノートへの記載でもかまいませんが、より確実にと望む場合は書面に残すようにしましょう。
>>明日のための「マイ・エンディングノート」本田桂子著(技術評論社 )

書面の形式は自由ですが、日本尊厳死協会や日本リビングウィル協会などの団体が発行している宣言書があります。会員になることが前提ですが特典もありますので、必要性を感じる方はこういったものを利用してもよいでしょう。また、公証役場の「尊厳死宣言書」という方法もあります。

>>一般社団法人 日本尊厳死協会
>>特定非営利活動法人 日本リビングウィル協会
>>日本公証人連合会
>>日本公証人連合会「尊厳死宣言公正証書」について

まわりに意志を伝えておくことが大事
上記の例にある延命治療への意思表示は、救急救命時など死期が迫ったときを想定していますが、ガンなどの重病や難病の場合は、違ったニュアンスの選択肢になるでしょう。すべてを想定することは難しいですが、こうしたことを家族やまわりの人々と話し合っておくことが大事。そうすれば、いろいろな場面を想像することもできるでしょう。

また、いざというとき、家族は「わかっているけど、でも…」という心境になってしまいます。前々から話し合って意志を伝えておけば、「本人が望んでいるのだから」と医師にしっかり伝えることができるでしょう。書面にすれば100パーセントその通りになるとは限りませんが、確実性は高まりますし、後々家族や周りにわだかまりができる、なんてことも防げるでしょう。

医療の進歩で、「回復の見込み」の線引きが変わってきますし、自分の周りの環境も変わってきます。一度書いたから、といわず更新することも大事ですね。

★どんなお葬式にする?

変化するお葬式のカタチ
自分のお葬式はどんなふうにしたい?といわれても、困っちゃいますね。「葬儀にはどんな種類があるの?」「葬儀社が提示するプランを選ぶだけじゃないの?」「そもそもお葬式やる必要あるの?」と思われる方が多いかもしれません。

お葬式には大きく3つの種類があります。

1)直葬
2)家族葬
3)一般葬

「直葬」とは「火葬式」ともいい、お通夜や告別式をせず火葬だけをおこなうものです。「家族葬」は一般葬と大きく変わりませんが、参列者を家族やごく親しい人たちだけに絞ったもの。「一般葬」は従来おこなわれてきた一般的なスタイルです。

以前は「一般葬」が主流でしたが、時代の流れとともに小規模な「家族葬」や、葬儀をしない「直葬」を希望する人が増えています。

お葬式に対する考え方やカタチも変わってきました。親などの葬儀を経験した人などが、あわただしい状況で葬儀社のペースで事が運んでいき、自分たちが思うようなことができなかった、費用が思ったより高額になったなど、これまでの葬儀のやり方に疑問を持つようになったのです。

そうした経験を経て、自分で内容を決めたい、自分らしい葬儀にしたい、と希望する人が増えています。葬儀社のお仕着せプランではなく「自分たちがまずプランを描き、いくつかの葬儀社に相談して実現できそうな葬儀社を決める」という、自分主導でお葬式のカタチをつくることが可能になっています。

自分らしい葬送スタイルをつくろう
お葬式だって自分らしくしたい!と考えるなら、ぜひそうしてみませんか。高齢でおひとりさまならお葬式なんて必要ないのでは、と考えるなら「直葬+感謝を伝えるおもてなしの会」とかでもいいかもしれません。自由に発想してみましょう。

自由な反面、自分でプランを立てるなら、ちょっとだけ学ぶ必要がありますね。どんなことを知っておくべきか、一般社団法人これから楽交が発行している「自分らしさ葬送スタイル」に沿って、見てみましょう。

まず最初に、人が亡くなったら必要なものって、何だと思いますか?
あれこれあるような気がしますが、必須なものというのは、実はこの4つなんです。

【亡くなったときに必須なもの】

・死亡手続き(死亡届の提出、火葬・埋葬許可証の入手)
・車    (故人を運ぶ車)
・棺    (荼毘にふす際の義務)
・骨壺   (遺骨を持ち帰るのに必要)

必須ではありますが、死亡手続き以外は、どんなものにするかは自分で決めることができるんです。

たとえば車は、葬儀社の手配する車でなくても可能。死亡診断書を携行すれば、自家用車でも送れます。棺は絵やメッセージが書き込めるものや、オリジナルカバーを付けることができるものがあったり、骨壺は陶芸で自分でつくったものを使用することも可能です。

上記以外のお葬式に必要なものも、自分でデザインや演出を考えたり、有り無しを自分で決めることができます。

【お葬式で自分らしさが反映できるもの】

・会場 (自宅、公営の斎場、葬儀社のホール、公民館・集会場、お寺のホールなど)
・空間演出 (祭壇、棺まわりの装飾など)
・想い出コーナー (アルバム、趣味の品、ミニギャラリーなど)
・衣装 (洋服や着物を指定する、オリジナルの死に装束をつくるなど)
・遺影 (写真を指定する、プロに撮影してもらうなど)
・音楽 (曲を指定する、親族や知人による演奏、バンドの演奏など)
・お礼状 (自分でしたためる、直筆で書く、便せんや封筒を選ぶなど)
・おもてなし (好きな料理を追加する、お菓子を用意するなど)
・返礼品 (好きだったお菓子、故郷のお菓子、寄付など)

>> 「自分らしさ葬送スタイルブック」(一般社団法人これから楽交)
>> 一般社団法人これから楽交

見学会やセミナーなどに参加してみよう
とはいえ、実感にとぼしく分からないところも多々あると思います。まずは、見学会やセミナーなどに参加してみませんか?NPOや社団法人、葬儀社などが無料セミナーや無料見学会などを開催していますので、気になったところに足を運んでみましょう。

セミナーでは、実際体験された方のお話を聞くことができるものもあります。また、同じような希望や心配を持っている参加者さんと出会って、いろいろ気がつくこともあるかもしれません。

気軽な気持ちで参加し、見聞や知見を広げることで、自分のイメージができてくるでしょう。

★お墓はどうする?

お墓のこと決めていないとどうなる?
あなたには、入ると決まっているお墓はありますか?決まっているなら問題ないですが、決まっていない方、なかなかアタマの痛い問題ですね。

「そんな先のことは分からない」「死んだあとのことなんてかまっていられない」…。分かります!けど、決めていないとしたらどうなるか。遺された家族がどうするかを決め、実行するわけです。自分の希望を伝えていなければ、家族の意向で決まってしまいます。そして家族にとって、これをおこなう負担はけっして小さくありません。

もし、家族がいなかったらどうなるか。行政が戸籍から親族を探し、見つかれば遠縁でも引き取ってもらうようお願いします。親族がすべて拒否すれば、行政が指定の葬儀社に最低限の葬儀をさせ、遺骨は火葬場で引き取り手なしとして処分されるか、無縁仏の合同墓へ祀られます。

それでもいいと考えるならかまいませんが、お墓についても自分で決めたい!と思うのであれば、ちょっとだけ学んでみませんか。

イマドキのお墓事情
これまでは「先祖代々の墓」や「○○家の墓」などのように、家や一族で入る「家族墓」が多数でした。しかし、少子化でお墓の継承が難しくなっている今、共同墓や樹木葬、散骨などのあらたなスタイルが注目されています。

●永代供養墓
お墓の継承者やお墓参りする人がいなくても、お寺が代わりに永代にわたって供養と管理をするお墓です。永代といっても、一定の期限(10年、15年など)がきたら共同墓に埋葬するケースがほとんどです。はじめは個別の墓やスペースが用意されていたり、はじめから共同墓になるなど、寺院やプランによって違っています。
宗旨や宗派を問わないところがほとんどですが、まれに檀家になることが条件のところもあります。寺院によって考え方や方法も違っていますので、事前によく確認しましょう。

●合葬墓(共同墓)
基本的には「永代供養墓」と同じですが、永代供養墓はお寺が経営するもので、「合葬墓」「共同墓」は社団法人やNPO法人、企業などが経営母体となっています。近年では、都内のNPO法人がつくったシングル女性向けの共同墓が注目されています。バラなどの花々に囲まれ、一見お墓と見えない作りが人気を集めているようです。

●樹木葬
「樹木」や「花木」の下に埋葬する方法。ただし、埋葬できる場所は「墓地」として認可されたところに限られますので、公営墓地や霊園、寺院、社団法人などが経営する墓地や敷地の中がほとんどです。
「自然に還る」「家族にお墓の負担をかけたくない」など考える人が多くなり、近年人気となっています。

●散骨(海洋散骨、森林散骨、空中散骨など)
散骨というのは「希望するものが相当の節度を持っておこなう」場合は、どこに撒いてもよいのです。ただし、遺骨をパウダー状にする、埋めるのではなく撒く(埋めると違法になる)、第三者が不快に思わない場所に、というのが必須となります。なお、他人の土地や自治体などで禁止されている場所、人の多い場所ではできません。
人気があるのは海洋散骨。専門の業者さんに依頼すれば、遺骨をパウダーにしてもらうこともでき、チャーター船で希望する海の沖まで連れて行ってくれ、問題なく散骨できます。リーズナブルな相乗りコースがある場合も。
空中散骨は通常、業者さんにお願いすることになりますが、森林や山や川などを希望する場合でも、業者さんに相談し、アドバイスを受けるようにしたほうがよいでしょう。

また、家族墓についてちょっと補足します。

●家族墓について
一家や一族のお墓の継承は、長男と決まっているわけではなく、ほかの兄弟や嫁にいって苗字が変わった娘、第三者など誰でも可能です。(ただし、お寺によっては「親族のみ」に限定しているところもあるので、確認が必要です)
お墓に入れる、入れないの可否は、お墓を継承し管理している人の許可によります。法的な決まりなどはありませんので、嫁に出た娘でも実家の墓に入る、ということも可能です。
ただし宗派や宗旨などの条件が関わることがありますので、いずれにしても、継承者やお寺によく確認してください。

見学会などに参加し実際に見てみよう
自分がどんなところで永眠したいかを自分で決めるには、実際に足を運んで見てみないと、ですよね。行って見てここだ!と感じることが一番大事です。
どんなお墓でも、散骨でも、見学会を催していたり、個別での見学や説明を受けることが可能。見るだけ、話を聞くだけならタダですし、気になったところにぜひ足を運んでみましょう。





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