11月のテーマ『治療方法は自分が選ぶ?延命治療と言われても…?!』

終活を知ってみよう会
★終活カウンセラー石崎公子さんが解説&ナビゲートする『終活を知ってみよう会』のレポート
(開催日 2018年11月27日(火)@笑恵館)

11月の「終活を知ってみよう会」が開催されました。
テーマは『治療方法は自分が選ぶ?延命治療と言われても…?!』

なかなか重いテーマですが、まずはじめに、カラフルでポップな絵のついたカードにYes・Noで答えるところからスタートしました。
『「病名、余命の告知」についての希望を、家族やパートナーに伝えてある』『延命治療を行うかどうかを、決めて伝えてある』…など、楽し気な絵のわりにはハードな質問。老後のリスクを認識する「ハッピーエンディングカード」の一部です。これで自分が今、終末期医療に対してどんな状況かが把握できます。

そうして自分の現状を確認した後、終活カウンセラーの石崎公子さんが昨今の医療について解説していきました。以前は「インフォームドコンセント」という言葉が聞かれましたが、今は「インフォームドチョイス」となっている。治療方法は自分で選ぶ時代へ。そして、延命治療もしかりです。

ほとんどのエンディングノートには、延命治療についての意思表示を記入するページがあります。「延命治療を希望する」「希望しない」「家族に判断をまかせる」といった感じに書いてあることが多いです。

が、ところで「延命治療」とは具体的に何を指すのでしょう?という石崎さんの問いに、人工呼吸器、胃ろう、あとは…なんだっけなどと参加者の皆さんが答えていきます。「延命治療」といわれるけれども、具体的にどんな処置がそうなのか、しっかり分かっている人は少ないかもしれません。
ということは、エンディングノートの欄に記入したからといって、理解して書いたとはいえないのかもれませんね。

次に「大切な家族が倒れて、医者から延命措置を希望するかどうかを聞かれる」というシーンを想定し、何と答えるかを考えました。仮の話とはいえ、すぐに答えられるものではないなとしみじみ。
治療したから全快!といかない場合は、それぞれのメリットデメリットを示してもらい、冷静に判断することが大事と石崎さんは言います。

そして、そうなったとき自分はどうしたいのかを考え、意志を伝える・家族などと共有することが求められている。最近の医療現場では、「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」というものが推進されているそうです。

ACPとは、「医療従事者と本人・家族があらかじめ話し合って本人の思いを明らかにし、その経緯をそのまま関係者が共有すること。意思決定が出来なくなったときに備えて、本人に代わって意思決定をする人を決めておく経緯」。経緯までを共有するというのがポイントで、それにより、本人も周囲も理解が深まって納得のいく選択ができるようになるといいます。

自分が後悔しないためにも、家族に後悔させないためにも、話し合うということがとても大事なんですね。

その後、みんなでおしゃべりタイム。お母さまを最近見送ったTさんは、ご主人が療養型病院の医師で先生方の葛藤などを話してくれました。Kさんは、両親それぞれに延命治療の希望を聞かれる場面があったが、これが延命措置だと分からずに答えていた。Iさんは、義父のがん告知に立ちあったがまるでインフルエンザです、というような感じで告げられた。など、それぞれの経験を話しあいました。こうしたリアルな経験を聞く機会ってなかなかないから、本当に貴重です。

そこから見えるのは、一人ひとり、その時その時でぜんぜん違うし、なにが正解か分からないということ。けれど、事前に医療の現状について知ったり考えることが、自分らしく(尊厳)を守ることにつながるのではないでしょうか。

最後に石崎さんが、最近観たNHKの番組で医師が言っていたことを話してくれました。

『「大切な人の命をつなぐか自然に任せるかを自分が決定しなくてはいけない」と考えると、とても苦しくなりますよね。けれども、「この医療を続けるのがこの人らしいのか?止めるのがこの人らしいのか?」家族はそれを推測してサポートする、というふうに考えると良いのではないでしょうか。』

それができるためにも、日ごろから考え話し合うのが大切なんですね。

たいへん重いテーマでしたが、深みのあるお話ができた会でした。
そうしたこともざっくばらんにお話しできるのは、「終活を知ってみよう会」ならでは。ぜひ一度、体験してみませんか?

★★★★★
次回の「終活を知ってみよう会」@笑恵館は、
2018年1月22日(火)午後2時15分~3時45分
テーマ『ホームホスピスってなあに?』

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