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想いを分かちあえる棺『エコフィン』~ウィルライフ(株) 前篇~

終活

「棺」と聞いて、あなたはどんなイメージを持っていますか?
死と直結、コワい、できれば見たくない、避けたい…など、ポジティブじゃない印象ではないでしょうか。けれど、死は誰にでもおとずれます。自分や家族にそれがおとずれたとき、いいカタチで送りたい送られたいと誰しもが願うはず。大切に思う気持ちを表すことができ、その場にいる皆で想いを分かちあえる棺があるとしたら…?

棺でそんなことができるの?とにわかに信じられないのはごもっとも。けれどあるんです、そんな棺が。その名は「エコフィン」。地球環境にやさしい棺、という意味がこめられています。

「エコフィン」の生みの親であり、新しい葬送文化の創造をテーマに、環境にやさしいエコ棺、葬儀などの企画・開発をしているウィルライフ株式会社代表取締役の増田さん、カスタマーサービス担当の安田さんにお話をうかがいました。

ウィルライフ株式会社
〒106-0031 東京都港区西麻布2-26-5
http://www.willife.com/




その人のライフスタイルを表現する棺

カッキー:
ウィルライフさんでは棺を作っていらっしゃいます。名前を『エコフィン』といいますが、どんな意味があるのですか?

安田さん:
「エコロジー」と「コフィン」の造語で『エコフィン』。“環境にやさしい棺”という意味です。

増田さん:
“棺”は英語で「コフィン」または「カスケット」。語呂がいいのが「コフィン」だった(笑)。
私たちは業界的には新参者だったので、これまでの棺と差別化する必要がありました。エコフィンの素材は、グループ会社であるトライウォールジャパン社の強化段ボール。抜群な強度に加え、エコロジーという特長を持っています。そこでエコロジーにフォーカスし、エコロジカルなライフスタイルの人が選ぶ棺を目指しました。

カッキー:
スタートしたのはいつですか?

増田さん:
2006年10月、まず「エコフィン ノア」を販売開始しました。2009年秋に「エコフィン WiLL」、2013年に「エコフィン is」。エコフィンにはこれらの3ブランドがあります。

安田さん:
通常、棺は葬儀社を通してお客さまに届けられますが、テレビなどで取り上げられることが多くなると、直接のお問い合わせが増えました。どんなものなのか、どうやれば使えるのか、どこの葬儀社で扱っているのか…。求められていると思いました。
そうして2011年10月、顔を合わせてお話しでき、いつでも実物が見られ、一緒に葬送にまつわる勉強会もできる『エコフィンラボ』をオープンしました。

カッキー:
この取材もエコフィンラボでおこなっています。すごく居心地のいい空間で、ずっと居たくなる(笑)。このラボができて、お客さんは来ましたか?

安田さん:
はい、かなりの方がお越しになっています。お客さまと直接お話しできるので、できる前とは全然違う。それまでお客さまの声を聞くには唯一、エコフィンに付けていたアンケートハガキのみでした。

カッキー:
アンケートを付けていたのですね。

安田さん:
はい。ご返送いただいた中には「悲しい気持ちを植林という新しい命に変えてくれて、素晴らしい取り組みだと思う」とか、「最後の社会貢献ができた」、「亡くなった93歳の母も喜んでいると思う」などと書かれていました。
「幸せに思う」「嬉しい」「知ることができた」などとの意見を多数いただいて、あらためて思いました。故人やその家族が日ごろ大切にしている想いを反映できるのが、この棺なのだと。

増田さん:
やっていくなかで思ったのは、モノだけ売ろうと思ったら、この商品は売れない。“こと”と一体なんだよね。
コンセプトがしっかりしている商品というのは、価値がはっきりしていて、使う人のライフスタイルを考えている。このエコフィンも、最期の送り出すときに、その方のライフスタイルを表現するものとして位置付けています。
そのためには必要なものがあって。背景ではこんなことが起きているとか、何でこれなのかとか、お葬式って本当は…とか、価値やコンセプトを伝える場、意義や問題を一緒に考える場が必要。それをつくることが最も大事だと考えるようになって。それでコミュニティ(※)をつくりました。


“火葬”の背景にあるもの

カッキー:
エコフィンには2つの大きな特長がありますね。ひとつは、環境にやさしいこと。もうひとつは、気持ちを表現できること。まず、“環境にやさしい”というところをくわしくお聞かせいただけますか。

安田さん:
エコフィンは通常の合板製棺に比べて、使う木材の量が半分ですんでいます。量が半分なので、燃える時間も半分。二酸化炭素の量も半分になります。そして、森林資源を持続的に守っていくために、植林の寄付がついています。それから、化学合成接着剤は使っていません

増田さん:
日本で使われている棺は、ほとんど合板でできています。合板に使われている木は、だいたい熱帯地方に生えてる広葉樹。日本の木は、杉とか檜とか針葉樹が多い。針葉樹はしっかりしてるから固いんで、合板にするには大変。広葉樹は年輪がないから柔らかい。四季がないから年輪ができないんだね。で、熱帯の木をどんどん伐採してしまっている。しかも違法伐採が多い。
東南アジアのボルネオ島は、7年後に天然林がなくなっちゃうんですよ。原因は切りっぱなしか、パームヤシを植えていること。パームヤシは20年しかもたない。そうすると、熱帯雨林は再生不能になってしまう。だから今すぐ、何とかしなきゃいけない。日本は木材輸入が世界一なんですよ。

カッキー:
なんと、それは大変ですね。私たちに何ができるのか…。
エコフィンに戻りますが、燃焼時間も半分?

増田さん:
棺だけでいうと20分が10分になる。カラダがあるのでそれほど極端に変わらないけど、5分短いという結果が出ています。5分しか、と思われるけど、燃料代を考えれば大きいよね。

安田さん:
燃焼時間が半分になったとはいえ、二酸化炭素は出ちゃいますよね。それを植林することによって、木が二酸化炭素を吸ってくれる。だから植林寄付つきなんですよ。いくら機能を高めても、二酸化炭素はなくならない。じゃあ、出てくるものを何とかしないと。

増田さん:
木を伐採するとか、二酸化炭素が出るとかって話になると、じゃあもう火葬やめれば、棺桶いらねえみたいな極論になったりする。けど、火葬って単なる遺体処理じゃないから。文化なの。遺族にとって大事なセレモニー。グリーフワークの視点でとっても大切な行為なの。

カッキー:
カラダだとすがりついて離れたくないって気持ちになるのが、お骨になると妙にさっぱりする感じはあるかも…。

「エコフィン」を選ぶことが、森を育てる、森を守る

カッキー:
植林のお話ですが、場所はどちらなんですか?

安田さん:
モンゴルです。ロシアの国境近くなんですが、森林火災で焼き尽くされたところに植林しています。日本には植林する必要がないので、必要とされているところで、親交のあったモンゴルに。理念が近しい「GNCジャパン」というNGOと協業しています。

カッキー:
毎年植林されているんですよね?

安田さん:
はい、今年は26,200本。「エコフィン生命の森」という場所に植えています。すべてのエコフィンに寄付がついているほか、協賛を募っていて、個人でも企業でも寄付できます。私も昨年、母が亡くなったので香典の一部を寄付しました。
種類はすべて松。もともとあったのが松だから。その地に合った木を植えています。

カッキー:
「エコフィン生命の森」、行ってみたい!(笑)
ところで、日本には植林する必要がないとおっしゃっいましたが…?

安田さん:
必要なところも少しはありますが、それよりまず間伐して整えることが先です。日本は国土の25%が人工林。間伐や下刈など、人の手で整えないと二酸化炭素の吸収量も落ちる。近年の水害など、大地が保水できなくなっているのもその影響なんですよ。

カッキー:
木が多すぎるってことなんですか?

安田さん:
そうです。それで下草なども生えてこないし、針葉樹って根っこがそれほど張らないから、お水をそれほど貯えられない。だからちょっと降ったらすぐ流れてしまい、水害になってしまう。

カッキー:
そうなんですか!宅地開発などで山を切り開いてるのが多いイメージで、日本でも木が少なくなっているのかと思っていました。まったくの反対。聞いてみないと分からないものですね。

安田さん:
エコフィンでは、国内の森の整備への寄付もついています。坂本龍一氏が代表をつとめる森林保全団体「more trees」へ寄付し、国内の森を守るための活動費用として活用されます。
「エコフィン WiLL」には檜が使われていますが、これは「more trees」が整備する森のある四万十川流域から伐り出された間伐材なんですよ。

カッキー:
エコフィンは、国内の森林保護にも役立てられているんですね。



見えないところでも、環境にやさしく

カッキー:
それから、化学合成接着剤を使っていないということですが、化学合成は問題なんですか?

安田さん:
合板は、大根の桂むきのように薄く切った木を重ねて接着します。重ね貼りするために、外側からは見えませんが、接着剤が使われます。安価なものはたいがい化学合成。化学合成接着剤というのは、燃焼したときに有毒ガスを発生させるんですね。
エコフィンは合板ではないですが、接着剤は使っています。けれど、天然成分のものを使っています。トウモロコシなどのでんぷん質。昔、糊をつくるときに使っていたような。だから有毒ガスは出ないです。
この前ある方がエコフィンを、クンクン匂いを嗅いで「これ化学合成剤使っていないわね?私、過敏症だから分かるのよ。これなら大丈夫だわ」とおっしゃっていました。

カッキー:
人にもやさしい(笑)。そういう方でしたら、ぜひ天然のものを使いたいと思うでしょうね。しかし棺にそんな観点があったなんて、オドロキです。






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