人生ドラマの主役で、脚本家で、演出家で、ファンクラブ会長は“私自身” ~久保田泉さん~

オモロウゴの達人
人も、自然も、環境もパーフェクト

カッキー
なるほど、ホリスティックに全体的に捉えると、健康というものが違って見えますね。視野が広がる感じがします。

久保田さん
ホリスティック医学の定義は5項目あるのですが、その1つが「病気や障害、老い、死といったものを単に否定的にとらえるのではなく、むしろその深い意味に気づき、生と死のプロセスの中で、より深い充足感のある自己実現を絶えずめざしていく」というものです。こうやって口にするたびに、その壮大な発想に心が震えますね。

ふつうに考えれば、病気や障害はイヤでしょう。年だってとりたくないでしょう。でも、ホリスティック的には、そう簡単に片づけない。たとえば、私の父は脳梗塞の後遺症で、半身不随と失語症の日々が8年間続きました。けれど、それを単に否定的に捉えるのではなく、より深い充足感を得るにはどうすればいいのか、を考えるのです。

言葉の上ではわかったつもりになっていても、いざそれが現実になると、悩みますね。重い障害を背負ってしまった父に対して娘の私は、一体どうしたらいいのでしょう…。もし私がホリスティックを学んでいなかったら、父を気の毒に思い、憐れんでいただけだったかもしれません。でも、私はこう考えたのです。

父の「ボディ」は以前のようではなくなった、歩くこともできない、言葉によるコミュニケーションも難しい、でも父の「マインド」に衰えはなく、ましてや「スピリット」は輝き続けると。どんな状況になっても、その中でホリスティック的に考えると、その人一人一人は「パーフェクトな存在」だと思ったんです。

カッキー
なるほど、それがホリスティックな考え方なのですね。

久保田さん
そう考えるとね、つらい出来事もまったく違って見えてきます。それから、私がホリスティックを語るときの、一番好きなキーワードが「つながり」なの。人と人とのつながりはもちろん、人と植物とのつながりも大切にしたいと思っています。

アロマテラピーになくてはならない精油は、植物の香り成分ですが、それは光合成の賜物。根から吸い上げた水と葉っぱから取り入れる空気中の二酸化炭素を原料にして、光の力を借りながらブドウ糖を作るというところからスタートします。人間はいくら頑張ったって、水と二酸化炭素から何も作れません。ましてや、栄養の素のブドウ糖だなんて。その一方で、植物は水と二酸化炭素と光と、そのどれが欠けても生きていかれません。

そして、光合成の副産物が酸素です。私たち人間が生きていくのに必須の酸素は、植物が作ってくれたものですよ。植物が人間を支えてくれていますよ。そう考えると、植物も相当に偉大だと思いませんか?だから植物にもっと感謝した方がいいんじゃないかしら。空気中の酸素を吸えるのは当たり前、なんて思わないでね。

カッキー
ほんとだ、そうやって見ると自然や環境がつながっている。だからこそ、パーフェクトなんですね。

ホリスティックな視点を講座で伝えている

潔く優雅に年齢を重ねる

カッキー
泉先生が惹かれたホリスティックの魅力が、分かる気がしました。そんな泉先生、素敵に歳を重ねられていますね。

久保田さん
私ね、今65歳だから、平均余命でいうとあと24年。今の日本女性の健康寿命が74歳なので、残りの約半分は健康で半分は介護される、という計算になります。これって単なる統計的な予測なのですが、この年月を考えたときに、やりたいことの優先順位がはっきりしてきましたね。

カッキー
私も親を亡くしたときから、そこを意識するようになりました。

久保田さん
私、大好きな本があるの。タイトルは「ヘルシーエイジング」、世界的な統合医療の提唱者アンドルーワイル先生の本です。この本のテーマは「老化を受け入れ、いかに健康的に年を重ねていくか」。

帯には「潔く優雅に年齢を重ねる」とあるんですよ。励まされます。とくにこの「潔く」っていう言葉に惹かれます。ですから私も、私流の潔さで、今後も過ごしていきたいと思っているんです。

大好きな本という「ヘルシーエイジング」とホリスティックヘルス塾のテキスト

それにね、年を重ねるって結構いいものでもあるのよ。私、60歳になったときに、「ああ、これで70歳の人とも80歳の人とも仲良くなれる」って思いました。50歳ではちょっと遠かった70歳がグ―ンと近づいたんです。そりゃあ、体力も衰えるだろうし、行動範囲も狭まるだろうけれど、「それが何なんだ?」という感じでもあって。あれから5年経って、今年は65歳になったので、ますます仲良くなれそうな年代が広がりましたよ。

カッキー
私も介護施設でいろんな方を見て実態がわかったので、それ分かります。衰えるところはあっても、元気。障害があったりもするけど、その人には変わりないって。高齢の方と身近に接していたり、見ていれば分かるけど、分からないから不安になるんですよね。

久保田さん
その点、人と人のつながりは、不安な気持ちを和らげてくれるのではないかしら。私はそんな、人とつながるための方法をいろいろ手に入れたのが、50代になってから。アロマテラピーやホリスティックを通じてです。30代40代のころはそれどころではなく、がむしゃらでしたから。今の方が、自分の人生を面白がれますね。

主役で、台本書きで、演出家で、ファンクラブ会長は“私”

久保田さん
ホリスティックは「生老病死」のすべてを視野に入れるんですよ。春夏秋冬、どの季節にも彩りがあるように、私たちは彩りある人生のドラマを生きていると思うの。そしてその主人公は、まぎれもなく私自身。

テレビのドラマって、台本を書く人、演出をする人、主役に脇役、さまざまな方がそろって一つのドラマを作り上げていくでしょう。けれど、自分の人生ドラマの台本は、自分が書いているんじゃないかしら?演出も自分がしていて、それを自分が演じていて…、そうだったらついでに、主人公のファンクラブも作ってしまいましょうよ。

会員が一人もいなくてもいいから、とりあえずファンクラブ!会長だけでもファンクラブ!!ファンですから、いつでも応援しますよ。私が私のことを、です。「いいぞ、よくやってるね。すごいね」って。そうやって我が身を褒めて、愛おしんでいきましょうよ。

カッキー
面白い考え方!

久保田さん
みなさん本当に「頑張り上手」ですよね。で、できないことがあると、ついついもっと頑張らなければ、と思ってしまう。できない自分ってダメだな、とかね。それも止めましょう。だって、自分が嫌いな自分を、自分以外の方に好きになってもらうのは、ちょっと図々しすぎるでしょう。

だから、まずは自分を好きになることから始める。日頃授業で出会う生徒さんにも「はーい、今日からあなた、自分ファンクラブの会長よ。会員は増やさなくてもいいから」なんて言っていますよ。

カッキー
それは楽しそう。

アロマテラピーの講座でハンドマッサージを教える

久保田さん
そんなふうにして、香りを嗅ぎながら、自分の心がなんて穏やかなんだろうって気づいたとき、それは余分なことを考えていない証拠です。

ゆっくりとしたペースを作るのに、アロマテラピーが役に立ちますよ。アロマテラピーは、まずは1本の精油とわずかな知識でできてしまう健康法。お一人でも多くの方におススメしたいですね。

年を重ねるって素敵なこと、と思えるように

カッキー
アロマってそう考えると確かにそうですね。今日は目からウロコなことを、たくさん教えていただきました。最後に40代50代の方に向けて、メッセージをお願いします。

久保田さん
40代50代の方と言えば、女性だったら更年期、男性にも更年期があるそうですが、どちらにしろ女性でしたら、40代50代はカラダも変わる、ココロも変わるの大転換期だと思います。

更年期に突入したあたりがちょうど人生の折り返し地点。後半の人生をどう過ごそうかと、あれこれ思いを巡らす。ぜひ、お好きな香りの中で楽しみながら思い巡らせてください。

そして、「年を重ねるってこんなに素敵なことなのね」と発信する人がどんどん増えるように、私は活動を続けていきたいです。

カッキー
泉先生、今日はどうもありがとうございました!

★★★★★★★★
久保田泉さんプロフィール

薬剤師
アロマセラピスト
「アロマテラピーの学校」講師
日本ホリスティック医学協会理事

日本大学薬学部卒業後、製薬会社や医薬品輸入販売会社などで、学術業務、品質管理業務、薬事業務に従事。西洋医学の中で仕事をする傍ら、アロマテラピーも専門的に学ぶ。とくに、ホリスティックアロマテラピーに関する活動に力を入れ、「介護に活かすアロマテラピー」「終末期に役立つアロマテラピー」などの講座を行っている。

著書(共著)
アロマテラピー学習帖  技術評論社
アロマテラピー検定に合格する問題集 技術評論社
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※記事内容は取材日時点のものになります。必要時にはお問合せ等でご確認ください。
(取材日:2017年11月)




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